木造3階建て住宅の強度と耐震性

木造の3回

 

木造3階建ては構造計算が必須

 

「木造3階建ては、揺れるのが当たり前?」

 

それは事実ではないのですが・・・・

 

●正しく構造計算がなされていれば、揺れがひどくなることはありません。揺れの激しい木造3階建ては、建物自体に問題があることがほとんどです。

 

日本で建てられるすべての建物は、建築基準法にもとづいて建てられています。建築基準法は、大規模地震や台風などの強風にあっても、建物が倒壊しないことを最低の基準として決めています。この基準さえ守っていれば、激しく揺れたり、振動を感じたりして不安になることは絶対にありません。

 

木造3階建てを建てることが実質的に可能になったのは、昭和63年に木造構造計算の指針が建設省より変更されてからです。現在でも、木造建物については、2階までなら厳密な構造計算を行うことなしに建築することが可能です。しかし、木造3階建ての建物は、当初より、建築基準法で構造計算を行い、安全性を確認することが必要な建物とされています。つまり、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物と同様に、構造計算を行うことが義務づけられている建物です。よって、きちんと構造計算がなされて施工されていれば、安全で揺れることなどない建物になるはずなのです。

 

言い換えれば、

 

木造2階建ての一般住宅は構造計算が必要ないのです。

 

全ての木造2階建て住宅が構造計算をしていないとは言いませんが・・・

 

 

 

木造3階建ての誤解と真実

都市部の地価高騰にともない、狭小変形土地に一定の部屋数を確保するために木造3階建てが急増しました。それに加えて1階に駐車場を設置するプランニングが急増したため、開口方向に壁が少なくなり、必然的に耐震性に劣る建物が数多く建てられることとなりました。構造計算を行うと、間口が狭いままで1階部分を駐車場にした場合、ほとんどすべての建物は構造計算をクリア出来なくなります。ですから、このような建物は、建築確認申請では1階を駐車場とせず、建前上、壁のある部屋にしておいて構造計算を満たして、実際には建築確認申請とは異なる建物をつくっている現実があるのです。早い話が、違法建築です。

 

1階部分を駐車場にした建物については、当然のことながら構造計算を行なっていませんので、耐震性能などはまったく不明で、ほとんどの場合「人が上階を歩くだけで揺れる」「車が家の前を通るだけで揺れる」などの現象がおきてもおかしくないのです。実際に施工した大工も、このような建物ばかりつくっているため、「木造3階建ては揺れるものだ」という風説が流布したようです。平成13年の建築基準法の改正で、2階建ての木造建物にも、柱が地震時に浮き上がることを防止する金物を取り付けることになりましたが、木造3階建ての建物には、構造計算によって必要とされる金物が算定されており、きちんと施工できていれば、全く問題ないのです。

 

以上のような事から、木造3階建てが揺れるのは、木造3階建てだからではなく、きちんと構造計算をしていなかったり、違法な建物であるからだと考えて間違いないでしょう。約10年ほど前より、中間検査制度が木造3階建てに適用されたために、木造3階建ては少なくなり、鉄骨造が増えてきたようです。しかし、注文住宅ではこの傾向が強くなっていますが、建売では依然として木造3階建てが、都市部中心に多く見られます。

 

※各ハウスメーカーの家づくり

※注文住宅の坪単価の現実

 

 

木造3階建ての強度チェック!!【誰でもできる】

木造3階建て住宅の場合は、木造2階建て住宅のチェック方法と異なり、ます最初に住宅の奥行きから計算できる「必要な量の耐力壁」が、建物全体にしっかり配置されているかどうかが大きなポイントです。また、2階建て住宅と同様に、住宅の「入口付近に耐力壁があるかどうか?」にも目を向けましょう。この2つが最重要チェックとなります。

 

まず、最低限必要な量の耐力壁があるかどうかは、「住宅の奥行き方向の長さに対して、1階の間口方向に、同数以上の壁があるかどうか」をチェックしましょう。その際、まずは間取り図から、奥行き方向の長さを算出します。続いて、間取り図の中から間口方向に並んでいる壁数を数えます。両方の数が同じか、奥行き方向の長さよりも、間口方向の長さが上回れば、その住宅の耐力壁量はとりあえず問題ありません。次は、入口付近の耐力壁数のチェックです。ただし3階建て住宅の場合は2階建て住宅と異なり、住宅の入口付近2m以内に間口方向へ幅90㎝以上の壁が2ヵ所以上あるかを確認しましょう。壁が2枚以上あれば、その住宅は基本的な耐震性が確保されていると判断してよいでしょう。

 

以上の2つのチェックを行えば、誰でも簡単に木造3階建て住宅の耐震性を判断できるはずです。なお、このチェック方法は、奥行き長が間口長の1.5倍以上ある長細い形の住宅に有効です。これより正方形に近い住宅は耐力壁が配置しやすいため危険性はかなり少ないといえるでしょう。もちろん、間取り図に記載された壁が、「筋交いのある耐力壁」なのか、「筋交いのないただの壁」なのかは詳細図面を見ないと判断できませんが、危険性があるかどうかはこの方法で推測することが可能です。

 

 

木造3階建てと木造2階建ての違い!!

 

木造3階建ては、2階建てより厳しい基準で建てられています!!

 

木造3階建て住宅では、2階建て住宅とは異なった厳しい設計条件で住宅を建てる必要があります。

 

「シビアな構造計算が必要」

建築基準法では、2階建て住宅の設計では、構造計算といってもたったの20~30分程度ですんでしまうような簡便な方法が認められています。さらにその結果は建築確認にも添付する必要はありません。ところが、3階建て住宅の場合は、最低でも2~3日以上はかかる難しい構造計算(許容応力度計算)が要求され、さらに建築確認にもこの構造計算書が添付され、役所の審査事項となっています。

 

【約3倍程度の壁(耐力壁)が必要】

3階建て住宅は、建築基準法で2階建て住宅と比べてより多くの耐力壁が要求されます。さらに2階建て住宅にはない構造計算(許容応力度計算)の結果、1階の壁(耐力壁)は、2階建て住宅に比べて、約2~3倍程度の量がないと構造計算として成り立たないのです。さらに、3階建て住宅の場合は、1階の壁のすべてを耐力壁として計画しないと構造計算をクリアすることが出来ないケースがほとんどです。

 

【複雑な法規制】

「土地の価格が高いために、小さな区画に分割して木造3階建て住宅を建てる」というのが一般的な住宅販売手法です。しかし、土地が狭い分、道路斜線や居室の採光の確保、あるいは準防火地域での屋根や外壁の防火制限など、3階建て住宅は、現実問題としてかなりシビアな法規制の中で設計をすることが余儀なくされているのが現状です。つまり、厳しく設計され、計算通り施工された建物はとても安心ですが、設計通りに施工されていない、あるいは違法に変更をした住宅は、非常に危険な住宅となりやすい危険な特徴があります。

 

木造2階建て住宅の1階に必要な耐力壁の量を100とした場合の木造3階建て住宅に必要な耐力壁量を比較したものです。建築基準法では、2階建ての1.6倍の量を目安にすることが指示されていますが、実際に構造計算を行うと、3倍程度の耐力壁が必要となってくるのが実状です。

 

 

 

建売木造3階建ては危険だらけ!!

 

「建築確認だけ通れば、後はこっちでやります。」

 

「銀行の融資しか使えないよ。公庫は敷地が小さいから無理ですね。」

 

じつはこの2つの言葉に危険な3階建て住宅を作る土壌があります。3階建て住宅の場合は一般的に敷地が狭く、公庫の融資条件である敷地面積100㎡を下回る土地の場合がほとんどです。そのため銀行の融資しか住宅ローンの方法はありません。しかし、公庫の場合は中間検査や完了検査を受けないと融資金が下りませんが、銀行融資の場合は建築確認さえ通り、抵当権の設定さえ出来れば完了検査など不要なのです。このことが違法で危険な3階建て住宅の広がりを助長してきました。

 

また、建売住宅の場合、設計者が住宅の完成時まで面倒を見ることは絶対にありません。「構造計算と図面を作れば終わり」と割り切り、悪質な業者は、「いらぬお節介はいらない。建築確認だけ通ればいいのだ!!」と考えているのです。最近でこそ、行政機関が金融機関に対しても住宅の完了検査を受けた住宅を金利面で優遇し、違法な住宅が出ないように働きかけを行っています。販売時の美辞麗句とは裏腹に、南海トラフのような大規模な地震があったときには、「よそも被害があっだので、この家も当然でしょう」と、誰も責任を取らない、もっともらしい逃げ口上を考えているような危険な建売業者に注意しましょう。特に敷地面積の小さい都市部の木造3階建ては注意が必要です。

 

 

木造3階建て住宅のメリット

最大のメリットは、もちろん居住空問の広さです。 1階が駐車場の場合、敷地に駐車場専用のスペースがなくても2フロア十駐車場を確保できます。広さが増せば、家としての機能性もアップします。二世帯住宅にしたり、趣味や仕事の専用スペースをつくったりと、様々な使い方が考えられます。また、周囲の状況にもよりますが、生活スペースが2階と3階なら、普段目にする窓外の眺めがいいこともメリットの一つといえるでしょう。

 

 

木造3階建てのチェックポイント!!

十分な強度を備えているか

木造3階建て住宅で一番気を付けるべきポイントは、何といっても強度の問題。基礎や土台、1階、2階とそれぞれに十分な強度が必要です。木造か鉄骨造かでも必要な強度は違うので、設計の段階で確認しておきましょう。そのためにも、設計事務所や施工業者を選ぶときに、「過去に木造3階建て住宅を何度も手がけている」ということを前提にすれば、ひとまず安心です。

様々な法的規制がある

木造3階建て住宅ならではの法的規制にも注意しましょう。一般的な住宅より高いわけですから、高さ制限や斜線制限、周囲の建物の日照を確保するための日影規制などに引っかかりやすくなります。また、防火地域では耐火構造(鉄骨造など構造部分が燃えない)、準防火地域では耐火建築(耐火構造に準じる構造)にする必要があるので覚えておいてください。

『無理』とは言いにくい建築士の立場

1階部分を車庫にするとき、建て主は車の出入りのしやすさを求めます。建築士がそれに応えようとした結果、最低限の強度に満たない家になる場合も。出入りが不便でも、強度を優先させる姿勢を持ちましょう。

 

その他のチェックポイント

●屋根裏に点検囗があれば、ボルトの緩みや雨もりのチェックがしやすい

 

●高さを抑えるためのフラットルーフは、屋根材をくるむ防水材の亀裂に注意

 

●水回りが2階なら天井に排水管の点検口を。ないままで設計されることもある

 

●ルーフバルコニーは真下に部屋があるので、しっかりした防水対策が必要

 

●車庫にする設計が多いが、使い勝手を優先して壁の量を減らしすぎないこと

 

●1階を半地下にして高さ制限をクリアするのは、完璧な排水設備がないと危険

 

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木造3階建て住宅はやっぱり危ない!!

 都市中心部などの好立地では、土地と建物のトータルコストを購入しやすい価格に抑えるために、3階建て住宅の販売がここ近年目立ちます。3階建て住宅は一般的な2階建て住宅と異なり、構造面でより多くの法的な要件をクリアすることが課せられている建物です。2階建て住宅よりも、厳しい基準をクリアしているのが3階建て住宅です。

 

ところが実際は、木造3階建てほどいいかげんに建てられたケースの多いのです。3階建て住宅は狭小地に建てられる場合が多く、その結果「限度一杯まで広くしたい」、「ガレージも欲しい」、かといって「道路に面した間口は狭い」と、厳しい条件下で建てられるケースがほとんどで、このため時として規制を守らす、役所に提出した図面と実際に建てている住宅の構造が異なっているケースがあるのです。そのような住宅は、耐震性に大きな問題のあるのです。

 

また、木造3階建て住宅の場合は、より買いやすい価格帯に設定するため、敷地面積が100㎡以下となるケースも多いようです。しかし、敷地面積が100㎡以下の場合、住宅金融公庫の融資が受けられず、銀行融資しか利用できません。銀行融資だけの場合は建築確認さえ提出すれば、役所の検査を受けずに建築することが出来、結果、違法性の高い方法で3階建て住宅を建ててしまうことが可能になるのです。チラシ広告やネットの情報をチェックしてみると、道路側に車庫を確保するために、耐震性のきわめて低い間取りに変更された家が多いのも、木造3階建て住宅購入時のチェックポイントと言えるでしょう。もっとも、専門家でなければなかなかわからない、これらの危険な3階建て住宅も、じつは間取り図のたった2ヵ所をチェックをすれば、素人でも十分に判断することが出来るのです。


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