注文住宅建てるなら「太陽光発電」!!

【目次】

 

国の支援策が普及を後押し

国と自治体あげての助成制度と買電価格の引き上げで、注文住宅での太陽光発電の採用が急速に加速しています。

 

わが国では、地球温暖化防止のための京都議定書に定められた温室効果ガスの削減目標を達成するため、太陽光発電による発電量を2020年度に2005年度の約10倍の1400万キロワットに、2030年度には約40倍の5300万キロワットにまで増やすことを2008年ア月に閣議決定し、その達成のため住宅用太陽光発電システムの導入に際しての補助制度(住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金)が開始され、補助金交付が行われています。さらに、2009年7月、「エネルギー供給構造高度化法」が成立し、景気対策の一環として太陽光発電の新たな買取制度ができたことで、2020年度までの太陽光発電量の目標が2005年度の20倍の2800万キロワットに方修正されました。

 

これまで、太陽光発電を注文住宅で導入するとなると、導入コストが高額で、発電によって得られる電力での光熱費の削減効果だけでは減価償却に長い年数を要するという悩みを抱えていました。しかし、前述の助成制度と余剰電力買取制度によって、おおよそ10年ほどで導入コストの償却ができるめどがたち、リーマンショックで一時落ち込んだ普及の勢いが、2010年度に入って出荷ベースで前年比の約3倍と、景気低迷前を上回る勢いを見せています。国だけでなく、都道府県や市区町村で独自に助成をしているケースも多くあリ、太陽光発電システムの導入に関してはかなり敷居が低くなったといえるでしょう。なお、事業見直しによる制度の打ち切りあるいは縮小もないとはいえず、導入するなら今がチャンスと考える人が多いようです。

 

 

 

太陽光発電システムの設備構成

ソーラーパネルで発電された直流電気を高品質な交流に変換するのがパワーコンディショナーです。

 

ソーラーパネルとパワーコンディショナー

太陽光発電システムは、屋根に設置した太陽電池アレイで電気を作リ、そこで作られた直流電気を、パワーコンディショナーに内蔵されたインバーターという装置で家庭で使う交流の電気に変えて分電盤に供給します。ただ、太陽電池は夜間や日中でも日の差さないときには発電できないので、電気が足リないときには電力会社の電気を利用しなければなリません。そのため、分電盤には今までどおり電力会社の配電線も接続されたままになリます。また、太陽電池パネルで発電した電気が家庭内で使い切れずに余ったときは、その電気は電力会社の引き込み線から逆潮流して電柱上の変圧器(トランス)に流され、ご近所の電力として使われます。

 

なお、電力会社の電力供給システムは、厳密に電気の品質(電圧や周波数)が管理されておリ、余った電気を電力会社の配電システムに供給するとき、配電品質に影響を与えてはいけないので、パワーコンディショナー内には系統連系保護装置が組み込まれています(配電網につなくことを系統連系という)。この電力会社との電気売買量を測るために、売電用と買電用の2つの電力量計が屋側(家屋の壁の外側)に設置されるのが太陽光発電住宅の特徴です。

 

なお一般に、売電、買電の表現については、電力会社から見た売リ買いを表し、消費者の立場では売リと買いの立場が逆転します。そして買電メーターは、電力会社からレンタルする場合と自己負担で購入が必要な場合があリ、それぞれ電力会社によって異なリます。

 

 

 

太陽光発電の導入費用

平成30年時点で発電量1キ囗ワットあたり税抜き65万円以下が目安となっています。

 

国の補助金要件額が目安に

太陽光発電を導入しようとした場合、費用はいくらかかるのでしょう。2010年度の国の補助金制度の申し込み要件には、1キロワットあたリのシステム価格(税抜き工事費込み)が65万円以下のものが補助の対象システムとして規定されておリ、各社の太陽電池モジュールの適合機種が指定されています。国の補助金制度の目的が「住宅用太陽光発電システムの価格低下を促しつつ、市場の拡大を図ること」とあることを考えれば、10年度時点ではこの1キロワットあたリ65万円という価格が導入時の目安になることが分かリます。

 

なお、新築時のほうが既築住宅に設置する場合よリシステム価格が安くなっています。これは、太陽光発電を新築着工の付加価値商材として売0込み、価格を安く設定しているものと想像されます。参考までに、新エネルギー導入促進協議会の発表によると、2009年のシステム価格の内訳は、太陽電池モジュール43.5パーセント、接続箱とパワーコンディショナー15.5パーセント、設置工事費8.9パーセントとなっています。この導入コストに対して、国の補助金が1キロワットあたリ7万円、自治体の補助金があればその分か軽減されることになります。なお、補助金の受け取リは、施設完了から数力月後になるので、いずれにしても導入費用は一度全額を支払う用意はしておかなくてはなりません。ただし、メーカーや銀行のローン制度もあって、太陽光発電で生まれる電力料金削減分と余剰電力の売電分とでローン返済に充てることもできます。

 

 

 

住宅用太陽光発電補助金制度

 国と自治体の補助金制度を上手に活用するのがポイントです。

 

国の補助金制度

太陽光発電の一般住宅への飛躍的な普及拡大を支援するため、平成20年度よリ、国は導入者に補助金を交付しています。この補助金は、一般社団法人太陽光発電協会/太陽光発電普及拡大センターが募集を行い、平成22年度の補助金は、おおむね以下のような内容で実施されています。なお、補助金の対象となる太陽電池モジュールのメーカー・機種名については、同センターのホームページで確認できます。

 

自治体の補助金制度

また、国が行う補助金制度のほかに、地方自治体が行う補助金制度もあわせて活用できます。平成29年3月現在、768の県や市区町村で導入支援策を実施しています。詳細は各市町のホームページで確認できますが、おおむ10万円から20万円程度の補助金が支給されています。

 

申請時期とタイミングに注意

申請にあったて留意すべきことは、それぞれ申請できるタイミングが異なる点です。たとえば国の補助金は、着工前の申請が必要ですが、自治体の補助金は施設を完了して電力受給を開始してから申請を行うケースがあリます。さらに、国の申請期間が比較的長いのに対して、自治体、とくに市町村の申請期間は短いので、うまくタイミングを図って着工や工事完了時期を業者を交えて計画する必要があリます。このあたリは、施工業者が申し込みを代行してくれるので、アドバイスを受けるとよいでしょう。

 

 

 

余剰電力買取制度

制度変更で電力会社独自の買取から国民負担の買取に変更となりました。

 

減価償却の期間大幅短縮に寄与

低炭素社会実現に向けて、国が太陽光発電の普及を促進するため、電力会社による太陽光発電の新たな買取制度が平成21年11月よリ開始されました。具体的な買取単価、買取期間は、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」に基づき、経済産業大臣告示として平成21年10月の検針日以降、太陽光発電設備から発生した余剰電力に対し、太陽光発電設備容量や太陽光以外の自家発電設備の併設状況などに応じて、適用されています。

 

一般住宅の場合、太陽電池単独での発電では、発電容量10キロワット(kW)未満が一般的ですから、買取単価は1キロワットアワー(kWh)あたリ48円と、それまで電力会社が独自に行っていた買取の適用額24円から2倍になったことになります。これは、最も多くの家庭が契約している電気料金メニュー「従量電灯B」の最高単価(25円前後)と比べても、かなり高額に設定されていることがわかリます。なお、この買取制度における買取期間は、太陽光発電設備設置以降扣年間とし、その間同一の買取単価が適用されます(買取期間満了後の買取条件は、別途電力会社が定める)。また、平成32年度以降の買取単価は、太陽光発電設備の価格の低減状況などを踏まえて、年度ごとに国の審議会で審議され、低減される方向で見直されていくことになっています。

 

売った電気代は所得扱い

太陽光発電で買い取られた電気代は、毎月指定口座に振り込まれる。この代金は契約者の所得と見なされるので、給与所得者の場合には、年間20万円を超えれば確定申告が必要になる。

 

 

 

太陽光発電の経済性

余剰電力の買取価格48円の経済効果をどう考えるか。

 

買取価格が高い今がチャンス

太陽光発電の導入を検討する上で、もつとも気になるのが光熱費における経済効果です。光熱費の削減効果が大きいほど、導入時の初期費用が早く償却でき、その後の経済効果が期待できます。太陽電池モジュールの耐用年数は約20年、パワーコンディショナーは約15年(メーカー保証はどちらも10年)といわれますから、それも勘案しておかなければなリません。

 

ここでは、平成15年9月に太陽光発電システムを導入した東京郊外のお宅を例に、光熱費の推移を前年と比較して見てみましょう。この家庭では太陽光発電の導入に合わせてIHクッキングヒーターとエコキュートを導入し、電気料金の契約をオール電化用の「季節別時間帯別電灯(東京電力)」に変えています。なお、売電価格は平成16年度時点の売里莖を平成21年の買取制度実施後の48円に換算したもので計算しています。太陽光発電の規模は2.45キロワットと比較的小ぶリなシステムですが、以前のガス併用時の光熱費に比べて、買取制度実施後では、年間で22万円超の削減が実現したことが分かリます。国の買取制度の効果が年換算で約4万円超生まれるおかげです。

 

1キロワット65万円のシステム導入費で計算すると、2.36キロワットで税込み約162万5千円、国と東京都の補助金が現在約40万4600円として初期費用は約123万円ほどとなリ、おおよそ5年半で元が取れる計算になリます。その後も5年間は48円の買取が保証されますから、今なら経済性は十分にあるといえるでしょう。

 

 

 

太陽光発電のしくみ

太陽光エネルギーをいかに無駄なく電気に変えられるかが、大きな課題です。

 

太陽は、季節や天候によって異な0ますが、1平方メートルあたりおおよそ1キロワット(kW)相当の光エネルギーを地上に注いでいます。このエネルギーを全部無駄なく電気エネルギー(電力)に変えられれば、100ワットの電球10個を灯せるパワーになるはずです。しかし現在実用化されている太陽電池は、射し込む太陽光エネルギーの約20パーセントほどの電力しか取リ出せません。これを発電効率といい、面積1平方メートルの太陽電池で100ワット電球1.5個(150ワット)を点灯できるくらいの発電性能というわけです。

 

現在普及している太陽電池は、高純度のシリコン(ケイ素)にきわめて少量の不純物(リン原子やボロン原子)を混ぜて結晶化したものを材料にして作られています。混入させる不純物の違いで、電子が過剰に存在する結晶と、電子が欠乏した結晶の2種類が作リ出せ、これを半導体と呼んでICチップの材料として用います。この電子が過不足した2種類のシリコン半導体を接合して、その接合面に光を当てると、結晶の両面に電流を流す力(電圧)が発生します。これが太陽電池の発電原理です。そしてこの接合半導体の両面に電極を付けたものがソーラーセルで、シリコンソーラーセルーつで約0.5ボルトの発電電圧が得られます。そして10センチ~15センチ角のソーラーセルを何枚も直列につないで、実用になる電圧と電力(パワー)を取り出せるようにしたものが太陽電池モジュール(パネルとも呼ぶ)です。さらに、複数枚のモジュールを並べてつないだ状態のものを、アレイと呼びます。

 

 

 

半導体太陽電池の種類と特徴

注文住宅用は多結晶形シカコン電池が主流となっています。

 

普及タイプの多結晶形シリコン電池

半導体を材料に使う太陽電池には、シリコン系と化合物系があリ、現在はシリコン多結晶が多く使われていますが、化合物系の太陽電池も普及してきています。薄い化合物系太陽電池を積み重ねた高効率の太陽電池が開発途上にあリ、将来の実用化が期待されています。

 

いっぱうのシリコン系太陽電池は、結晶の向き(原子配列)が揃った単結晶形と、結晶の向きが不揃いな多結晶形、そして原子配列が無秩序な高度な工程が省けるので価格は安くなリますが、結晶の不揃い部分でロスが生じてしまい、発電能力は単結晶形よリ劣リます。そのため、単結晶形が発電能力の高い高性能高級タイプ、製法が簡単な多結晶形が安価な普及タイプとして製品化されています。太陽電池の表面を注意して見ると、多結晶形は結晶の向きの不揃いから、まだらな反射が見えるのが特徴です。太陽電池の発電能力は、太陽光を受けた単位面積あたリどのくらいの電気エネルギーを取リ出せるかを表す変換効率で示し、多結晶形で15パーセント、単結晶形で20パーセントほどとなリます。ここでいう変換効率は、製品になった状態でのモジュール変換効率で、ソーラーセルの理論上の変換効率(セル変換効率)は約30パーセントといわれています。

 

太陽電池製造の環境負荷低減:シリコン系半導体太陽電池の材料となる高純度のシリコンの精製には大量の電気を使うため、環境負荷の観点から、シリコン材料が少なくてすむアモルファス形の変換効率を高める研究や、電気を使わず触媒で高純度のシリコンを精製するなどの研究が進められている。

 

 

 

国産メーカーの太陽電池の特徴

国内各社それぞれに特徴ある製品ラインナップ

 

メーカーごとに違うセールスポイント

国内メーカーで住宅用太陽電池モジュールを製造販売している会社は、シャープ、京セラ、三洋電気、三菱電機の大手4社のほか、カネカ、ホンダソルテック、東芝も参入しています。電池モジュールは統一規格がなく、メーカーによって大きさや発電出力がまちまちで比較が難しいのですが、それぞれシステムに特徴があるので、覚えておくと導入の際の参考になリます。また、太陽電池モジュールには、屋根に架台を組んで取リ付けるタイプの屋根置型と、モジュールそのものを瓦の代わリに設置する屋根材一体型の2種類があリます。ただ屋根材一体型は新築用で、工務店のみに流通しているものです。

 

【シャープ】

まず、シャープの太陽光発電システムの特徴は、何といっても単位出力あたリの単価の安さです。京セラの特徴は、太陽電池モジュールのサイズが小形で、複雑な形状の屋根にも美しく設置できるのが特徴です。

 

【三洋電機】

三洋電機は、変換効率の高い単結晶形のモジュールを採用しているのが特徴です。価格はやや高くなリますが、狭いスペースでできるだけ多くの電力を発電したいときに有利になリます。

 

【三菱電機】

三菱電機はパワー半導体の開発で先端を行くメーカーらしく、電力変換効率97.5パーセントという高性能のパワーコンディショナーをそろえているのが特徴です。同社は、本書の発売直前に、単結晶形の製品の発売を発表しました。

 

【カネカ】
カネカはアモルファスシリコンと薄膜多結晶を積層したハイブリッド型で、高い発電効率が特徴です。

 

【ホンダソルテック】
ホンダソルテックはC-GSと呼ばれる化合物半導体のセルで、発電効率はやや低いものの安価なことが特徴です。

 

【東芝】
東芝は単結晶シリコンで高い発電効率が特徴です。

 

 

 

非常時に役立つ自立運転モード

地震災害による停電時の非常用電源として注目されています。

 

非常時に安心な発電機能

意外に思われるかもしれませんが、古い太陽光発電システムは、電力会社からの電気の供給が止まると使用できませんでした。というのは、モジュールで発電した電気を交流に変換したり、余剰電力を電力系統に送るために備わっているパワーコンディショナーが、電力会社からの電気を使って動作しているためです。これではせっかく自宅が発電能力を有していても、地震や台風などで長期に停電したときに役立ちません。そこで最近のものには、電力会社からくる電気が停電しても、太陽電池が発電していれば、専用のコンセントから電気を取リ出せる「自立運転モード」が備えられています。

 

とはいえ、自立運転は太陽電池の発電のみに頼るため、天候や時間帯で変動が大きく不安定な電源であリ、専用コンセントから取リ出せる電力も、100ボルト、最大1.5キロワットと限定されます。ただ以前にも紹介したように、阪神淡路大震災時で電気の完全復旧に要した7日間の非常用としては貴重な電源といえます。始動時に大きな電力を必要とする洗濯機や冷蔵庫、エアコンなどのモーター機器には使えませんが(供給量を超えて電気を使うと、システムを保護用のパワーコンディショナー内のスイッチが働いて、動作を停止するようになっている)、テレビ視聴や炊飯器の使用、携帯電話や懐中電灯に充電するくらいは十分可能です。自立運転モードヘは、室内に設置された電力モニターの手動設定で切リ替えます。

 

省エネ意識が芽生える電力モニター

室内に設置される電力モニターは、家庭内の電力使用をモニターするための装置ですが、最近の機種では、電気の消費と発電状況を、現在、1ヵ月、1年ごとにチェックできたリ、目標を立てて節電の達成度が確認できるなどの機能が充実しています。発電量から火力発電に置き換えたときのCo2排出削減量が表示されるといった機能もあり、省エネと環境保護への意識が家族に芽生える効果も利用者から指摘されています。また、高機能タイプになると、出先から携帯電話で電力状況が確認できたリ、インターネット経由でモニターできるものもあリます。

 

 

 

発電量には地域差がある

天候が安定している東海や瀬戸内が有利となっています。

 

日照条件で変わる発電量

太陽光発電では、季節や天候による日射量の変化が発電量を大きく左右します。そのため導入にあたっては、その地域の年間日射量も加味して発電量を想定することになります。その参考になる資料です。言うまでもありませんが、年間を通じて天候が安定して日射時間の多い地域が有利なことが見て取れます。また、太陽光の日射量が多くても、パネルの表面温度が上がったリ、光の入射角が傾いていれば変換効率が低下するので、真夏や冬場、そして朝夕で発電量が落ちることも覚えておかなければなリません。

 

公称最大出力の日射条件「エアマス」

なお、太陽電池パネルの発電性能をカタログなとに掲載する際に用いられる公称最大出力は、日射量の標準試験条件をJ-Sで規定し、その標準値で換算したときの発電出力を表すことになっています。その標準試験条件の1つがエアマスです。エアマスは空気質量透過条件とも呼ばれ、太陽光が地上に到達する際、上空にあるオゾン層による紫外線吸収や、大気中の水蒸気による赤外線吸収、塵による散乱を受けることから、これらの吸収や散乱を受けない状態を「AMO」と定め、日射強度の尺度にするものです。たとえば、赤道直下のエアマスは「AMIO」、日本では、緯度38度付近の条件値「AMI5」が用いられます。さらにJ-Sでは、1平方メートルあたリ1千ワットの日射強度に対して、パネルの表面温度25(±2)度での値を標準試験条件として定めています。

 

 

 

システム導入までの流れ

現地調査の結果で発電規模や見積りが決まります。

 

調査から検査運用まで約1.5ヵ月

まず、システムの発電規模や工法を決めるためにあらかじめ施工業者による事前の調査が必要になります。調査の内容は、主に建物の調査と電気設備の調査の2つです。建物の調査は、屋根の状態を調べて太陽電池が設置可能かどうか、どのくらいの発電規模の電池モジュールが置けるかを調べます。通常、電池モジュールを設置すると屋根が菫われて屋根は長持ちしますが、すでに屋根が痛んでいれば、瓦のふき替えなどメンテナンスの検討が先に必要になります。また、建物の構造によっては壁や天井裏に電線を通せないケースもあるのであらかじめ調べます。

 

この調査はあくまでも導入を検討するための見積りを出すのが目的ですから、発注が条件になることはありません。数社から見積もりを取るのなら、各社にそれぞれ調査を依頼します。また、太陽光発電の導入に合わせてオール電化も検討するのであれば、別途その見積りも依頼します。調査の結果を踏まえて見積もりと発電規模が業者から提示されます。妥当と判断できれば、発注書を交わします。その際、着工日を決めますが、自治体の補助金を申し込むなら、申し込みが着工前に指定されているケースがあるのでそれを考慮して決めます。また、瑕疵保険も重要な項目です。実際の施工は、目安として電気工事に1日、太陽電池モジュールの設置に1日、電力会社の検査と運転開始に半日を見ておきます。国の補助金の申請は、施工業者が代行してくれます。

 

 

 

屋根の調査と発電規模の検討

風圧による建築基準でモジュールの設置規模が決まります。

 

建築基準法による設置制約

ソーラーパネルの設置にあたっては、建築基準法によって施工する必要があります。留意すべきは、屋根の積載荷重とモジュールの風圧力です。電池モジュールと固定架台の重量は、発電量3キロワット程度のものでおおよそ300~400岐路グラムにもなります。この総重量のみを聞くと屋根がもつのかと心配になりますが、1981年に改正された建築基準法施行令では、屋根に積載できる荷重は、1平方メートルあたり600ニュートン(約61キログラム)とされていて、通常の太陽光システムの重量が1平方メートルあたり15キログラム程度ですから、施行令の改正以降に建てられた家であれば問題ありません。ただし、81年以前に建てられた家や、その後増改築された家の場合は、構造計算をした上で設置可能かどうかを検討する必要があります。さらに、多量の雪積がある地域では、電池モジュールの積雪荷重が規定を満たすかを見極めなければいけません。

 

もうひとつ重要なのは、風圧によってモジュールや屋根全体が十分耐えられるように施設することで、設置する電池モジュールの強度によって、屋根の端から隔離すべき距離が決まります。つまり、屋根の端に近い部分には電池モジュールを設置できないのです。どこまで設置できるかは電池モジュールの仕様で決まるので、それによって何枚の電池モジュールが屋根に設置できるかが決まり、発電規模が決まります。屋根いっぱいや屋根からはみ出して設置するのは違法となり、風圧で屋根を壊す危険があります。なお風の強い地域や、高さによっては設置ができない場合があります。

 

 

屋根の向きと発電量の予測

太陽の光エネルギーを最も有効に受けるためには、電池モジュールの真正面から光が射し込むのが理想です。そのためには、設置する屋根ができるだけ真南を向いていることが理想になります。真南に対して、屋根電池モジュールの向きかすれた場合の発電量の減少を下の図でしましました。45度で約4パーセントの発電量の低下になります。これは、定格出力100ワットのモジュールで96ワットの発電しか得られないことを表します。

 

さらに屋根の勾配による太陽光入射の傾きも発電量の低下を招きます。しかし最適な勾配は地域や季節によって変わるうえ、日本家屋の屋根の勾配、17度(3~45度)では、低下率は1~2パーセントとほとんど気にする必要はありません。ただ、屋根の向きが東や西を向くときは、できるだけ水平に近いほうが日が当たる時間が延びて有利になります。

 

気温25度が最適温度

夏場は太陽が照りつけて、発電にはよいように思いがちですが、実際には夏場の発電量は低下します。シリコン系太陽電池は、定格の基準温度である25度が最も変換効率がよく、気温が上かってモジュールの温度が上昇すると、その分発電量が低下します。夏場の電池モジュールの表面は70度を超える温度になるので、基準温度のときに比べて20パーセントほど変換効率が低下するのです。一年を通じて気候が温暖で、日照時間が長い地域ほど太陽光発電に向いている理由がそこにあります。

 

 

 

日陰問題と事前の対策

高層ビルやマンション、樹木の影が発電を妨げることに注意が必要です。

 

日陰は太陽光発電の大敵

太陽電池モジュールを設置する際の事前調査でもう一つ大切なことは、屋根の日陰問題です。近隣の高い建物や電柱、樹木が季節や時間帯によって屋根に影を落とすようだと、その時間帯は十分な発電量は得られなくなります。とくに南側に日を遮る物があると、1日の中でも一番発電量の多い正午前後の発電量が落ちて影響は深刻になります。かといって北側の屋根に設置したのでは、発電量は南側に比べて約半分となってしまって、とても実用になる発電量は得られません。さらに冬場は陰が長くなるので、そのことも考慮しておく必要があります。

 

アンテナにとまる鳥の糞も要注意

日陰のほかに留意すべきは、鳥の糞が電池モジュール表面に落ちて、それが日射しを遮ってその部分のセル発電量が落ちてしまうことです。部分的といえどもモジュールの一部の発電量が下がれば全体の発電量も低下してしまいます。

 

通常、鳥の糞は雨で流され、モジュール表面にたまることはありませんが、近くにテレビアンテナや電線があると、そこが鳥のとま0場所になって下にあるモジュールにたくさんの糞を落としてしまうことがあります。発電低下につながりかねない原因を取り除いておくためには、アンテナの取り付け位置を変えたり、アンテナが不要なケーブルテレビや光ファイバーによる受信も検討しなければいけません。なお、太陽電池モジュールの表面の汚れは、設置後数年ごとに業者のメンテナンスを受けて洗浄してもらうと安心です。定期的なメンテナンスが受けられるかとうかを業者に確認しておきます。

 

 

施エトラブル対策とメンテナンス

動力部がないので保守はほとんど必要ありません。

 

施エトラブル

太陽光発電システムの施工でよく耳にするトラブルが雨漏りです。本来、屋根は太陽電池モジュールで覆われるので、痛みは少なく寿命が延びるのですが、架台の固定部の防水処理の不備や、その部分の屋根材の劣化などが起こると雨漏りを起こすことがあります。しっかりした業者の施工なら、こういったトラブルはある程度回避できますが、施工のトラブルについては、リフォーム住宅に対する瑕疵保険で、5年間の保証が受けられます。施工時に審査が必要なのであらかじめ申請をしておきます。メーカーは機器の保証で家屋の構造躯体は含まれません。そのため、施工業者には発注前に保証体制を必ず確認しておく必要があります。

 

メンテナンス

太陽光発電システムは、可動部がないので保守はほとんど必要ありません。電池モジュール表面のごみも雨が流してくれるのでそれほど気にすることはありませんが、鳥のふんや火山灰、黄砂、油煙などがこびりついて著しく表面が汚れると、電池の発電量が低下します。そのため、日頃から通常の発電量を頭に入れておき、大きく発電量が低下したと感じたら施工業者に点検を頼みます。また、停電時にはパワーコンディショナーが自動停止しますが、停電が回復するとまた自動的に運転が始まります。そして停電が長引くときには、モニターに備わっている自立運転ボタンを押せば、自立用コンセントから電気が取り出せます。自立用電圧は天候の影響を受けて不安定なため、途中で電気が切れるとまずいものは使えません。

 

 

 

分散型電源とスマートグリッド

古くから電力は、地域ごとに電力会社が発電設備を用意して一手に供給する、集中形エネルギー供給という形式がとられてきました。しかし、近年の電力需要の増加や地球環境問題などに対応して、太陽光発電や風力発電、燃料電池など、電力消費地の近くに分散配置して発電を行う、分散形電源と呼ぶ小規模な発電設備が注目されています。

 

この分散形電源の普及をよりいっそう推し進め、電力会社が供給する集中形エネルギーとの高度な連系を図ろうという計画のひとつが、最近話題のスマートグリッド構想だ.スマートグリッド構想(直訳すると「賢い送電網構想」)は、家庭や企業、地域がもつ分散形電源と電力会社の集中形電力設備をネットワーク化して、電力を効率よく管理するシステムの総称であり、グリッドの役目をする設備の運営を、IT(情報通信)技術を駆使して行おうというものです。スマートグリッドでは、各家庭で所有する電気自動車に積まれたバッテリーも送電網につないで、蓄電池として地域の電力が不足したときの補助電源として活用することも考えられています。

 

 

国土交通省が「リフォーム瑕疵保険」を訴求

 太陽光発電システムの急速な普及にともない、悪質な電化リフォーム業者による施工の不備など、少数ではあるがトラブルも報告されている。新規参入が相次ぐ施工業者に対して、メーカーや業界団体では、正しい施工技術の指導と教育によりいっそう力を入れているが、万一粗悪な工事が原因で、雨漏りなどのトラブルが起こった場合への対応もいろいろと検討されている。

 

現状では、国内の太陽電池メーカーは、メーカーが行う講習会を受講し、なおかつ施工の不備によるトラブルに対して損害保険を適用して対応する施工業者が設置した物件にしか製品保証を行わないシステムを取って、施工品質とアフターケアの体制を整えているが、施工業者が倒産したり廃業したときの保証は担保されていない。そこで国土交通省では、太陽光発電の施工も対象となる「リフォーム瑕疵保険」の利用を呼びかけている。この保険は、元請け業者が保険法人に事前登録し、着工前に保険をかけるシステム。悪質な業者を排除し、工事途中で資格を持つ検査員が現場をチェックして消費者を保護するのが狙いです。

 

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